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インターネットトラフィックの変化におけるISPの課題と解決策

はじめに

本記事では2020年のCOVIDショック以降に激変したインターネット・トラフィックの状況をメインに、ISP様が直面している課題に対してDPI技術による解決策の事例を紹介しております。

この記事でも参照しているデータについては、DPIメーカの最大手であるサンドバイン社が毎年のインターネットにおけるコンテンツ利用のトレンドを公表している以下のレポートを参照しています。アプリケーション分析のスペシャリストの視点でコンテンツ需要の激変と将来の需要予測が記載されていますので、ご興味のある方はダウンロードして頂き、ご一読頂ければと思います。

インターネットトラフィックの現状

サンドバイン社のレポート内でも触れられているトピックの中で、日本においても課題事項と考えられるトピックスを4つご紹介します。

①Videoコンテンツの急増

2020年のCOVIDショック以降で顕著な傾向は、在宅でのネットメディアの視聴が一般化したことによりビデオストリーミング・コンテンツの急増となっています。特にNETFLIXはCOVIDショック以降で約20倍の伸びとなっており、2022年にはYouTubeを大きく上回ったことは衝撃的なデータでした。背景として、インターネットTVの普及があり、自宅での動画視聴のメインがインターネットコンテンツに移行していることが数値に表れているものと思われます。またNETFLIXは4K/8K(UHD)でのストリーミング・コンテンツが増えており、今後UHD対応のインターネットTVが普及することで更なるトラフィックの増加が予想されています。

<ビデオトラフィック利用分布>  ※出展:Internet Phenomena Report 2023

②ヘビーユーザによる帯域の占有

ユーザ毎の帯域利用傾向もパレートの法則に近く、 「20%のヘビーユーザ」 が 「80%の帯域」 を占有している状況が発生しています。ユーザごとのトラフィックボリュームの差は今後も拡大していく傾向が示唆されており、対策が必要な状況となっております。

<加入者ごとの利用帯域分析>  ※出展:Internet Phenomena Report 2023

③コンテンツの多機能化

一昔前は単一の機能の提供だったコンテンツも昨今は、次々に多機能が実装されてスーパー・アプリケーション化していく傾向があります。国内のメジャーアプリだと「LINE」が代表的で、グローバルでは「Uber」「Wechat」が次々にコンテンツを拡充しています。
一つのコンテンツで様々な機能がワンストップで提供されていくため、アプリに対してのユーザの利便性や満足度は上昇しています。一方で、通信を提供するISPから見ると単一のコンテンツで、メッセージング/動画/音声/決済/位置情報など複数の機能が提供されるため、アプリ側の通信品質に関する要求が高く、ミッションクリティカルな通信の利用状況をはじめとするネットワーク品質の把握が難しくなってきております。

④世界規模なイベントがトラフィックに与える影響

直近の顕著な事例としては、2022年ワールドカップ。国際的な人気イベントの配信がTVからストリーミングに移行しはじめてからの一大イベントですが、やはりインターネット上のトラフィック状況はすごいことになっていたようです。
会期中は平均的に定常ピークの300%、そして大会の盛り上がりがピークに達したブラジル戦では、なんと約600%に達したこともあったようです。(このピークに合わせて設備投資するのはちょっと現実的ではない印象です。。)

<某地域でのワールドカップ会期中のトラフィックパターン>

また副次的にトラフィックが増えたアプリとしてTwitterの投稿が急増してショート・ビデオや画像が大量に流れたことにより、Twitterのトラフィック量が平常時の500%ほどまで急増した事例があるようです。Instagram/TiKTokなどショート・ビデオが好評なアプリが増えていることから本家本元のストリーミングトラフィック以外の副次的なトラフィックにも目を凝らす必要が出て来たと言える状況となっております。

ISP様の課題感

上記を集約すると、以下のような課題感となります。

  • そもそも年々増加していく全体的なトラフィック
  • Videoトラフィックのリッチ化に対する品質維持
  • 再現なくトラフィックを流すヘビーユーザの対処
  • 事前予期が難しいビック・トラフィックをどう収容していくのか

トラフィック需要が上がったとして、発生する設備コストをサービス価格に転嫁することは非常に難しく、いかにネットワーク設備のキャパシティを有効利用するかという課題はISP様の共通課題となっているものと我々も考えております。

DPIでの解決策

ここまでの課題感に対する解決の選択肢の一つとなり得るのが、DPI(Deep Packet Inspection)技術となり、レンジャーシステムズではサンドバイン社の製品の取り扱いをしております。

サンドバイン社について

サンドバイン社は通信事業者様のインフラにて帯域制御技術を永年に渡りリードしてきた企業です。近年、プロセラネットワークス社*と合併し、帯域制御機能+アプリケーション分析で加入者の体感品質(QoE)を最適化するソリューションを展開しております。弊社も一次代理店として10年来提供させて頂いており国内随一の運用実績があると自負しております。

プロセラネットワークス社は、アプリケーションを識別する技術でTOPクラスのノウハウと技術力を持っているメーカでモバイルネットワークのインフラで広く採用されてきた企業。

サンドバイン社製品ラインナップ

旧来のサンドバイン製品(Sandvine1.0)と、プロセラネットワークス(PacketLogic)のラインが統合され、最新製品としてSandvine2.0製品が展開されております。弊社ではすべての製品について、導入と運用実績がございます。

これまでの導入事例

国内事業者様にこれまで提供させて頂いてきた事例にて代表的な機能を一部ご紹介いたします。
多機能な製品なので、これ以外のユースケースもございます。ご興味があれば紹介させて頂きますので、是非お問い合わせください。

【運用事例】公平制御

ネットワーク設備の帯域が埋まった際に、1ユーザあたりに割り当てられる通信量を平均化させることでユーザの体感品質を維持することが可能です。ネットワーク上のトラフィック量にはがあるので、本機能を使うことによりピーク時のコントロールを行い、サービス品質の低下を防ぐ施策となります。

【運用事例】アプリケーション品質分析

サンドバイン製品ではネットワーク上を流れる通信の解析データをバックエンドのデータベースにリアルタイムで保存していきます。蓄積データには、各通信における遅延やジッタ、ドロップ率などが含まれており、メーカのノウハウで各カテゴリの品質を直観的に可視化します。

以下、事例ではユーザの体感上でメッセージングやゲームは十分な品質が得られているものの、ビデオに関しては、品質劣化の傾向があることが視認できます。

こういった解析結果をもとにして、変化の激しいネットワークトレンドに合わせたトラフィック運用を実現頂いております。

まとめ

インターネット環境はいつも繋がることに加えて、快適に使えることが求められてきている時代となっております。当社はISP様の設備投資の最適化を実現しながら、インターネットに接続するユーザがストレスなくアプリケーションを利用することが出来る環境を維持するために、DPIは貢献性の高い技術だと考えております。今後もトレンド事例の発信とともに、DPIを用いた活用事例の発信を継続してまいります。

DPI製品に関する弊社の支援について

弊社では導入前の製品検討段階から支援させて頂き、サービス要件によっては実証実験により実現性を評価させていただくなど、初期工程からお手伝いをさせて頂くことも可能です。その後の設計/構築/運用設計もワンストップでお任せ頂けます。また導入時をスタート地点と考え、運用活用をトータルで支援させて頂くことを弊社の強みと考えております。トラフィック運用、品質可視化などでご相談がございましたら是非お声がけいただければと存じます。

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JANOG53での展示について

来る2024年1月17日(水)~19日(金)にて福岡で開催されるJANOG53に協賛スポンサーとしてブース出展を予定しております。当日ブースではDPI製品のデモを予定しており、今回ご紹介した製品の実際の動作イメージをご覧いただくことができます。
次回のブログにてエンジニアからデモ内容の一部を紹介予定となりますので、是非そちらも読んでいただけると嬉しいです。