2025年6月18日、シャングリ・ラ東京でAppLogic Networks社が主催する「AppLogic Live 2025」が開催されました。パートナーである当社もイベントに参加しましたので、当日の様子や発表された内容をご紹介します。
AppLogic Liveとは


AppLogic Networks社が保有する膨大なデータに基づいて、世界のインターネットトラフィックのトレンドや通信事業者が取るべき対策、新たな価値の創造について同社の取り組みを発表するイベントです。
今回は以下のアジェンダが用意されており、午後の部は通信事業者向け(Telco)とエンタープライズ向けにそれぞれ会場を分けての開催となりました。
- 午前の部
- Business & Portfolio Update ~New Company; New Values~
- GIPR 2025 ~Trends & Implications for CSPs~
- Technological Differentiators ~AppLogic Networks Technology Update~
- 午後の部(Telco)
- AppLogic and App QoE ~The Evolution for Today’s Internet~
- Case Study ~Carrier Grade NAT, Parental / Content Control~
- Best Data For Observability ~Operations Insights~
- AI AppAnalyst
- Telco Use Cases & Case Study ~Value Added Services~
- 午後の部(Enterprise)
- Enterprise Portfolio Update
- Enterprise Insights ~Overview and Demo~
- Customer Case Study
- Enterprise Use Cases & Case Study ~Value Added Services~
- Simplified Installation Engine ~Capabilities and Benefits~
上記からいくつかピックアップしてご紹介します。
午前の部より 「GIPR 2025 ~Trends & Implications for CSPs~」
AppLogic Networks社が毎年発行している「Global Internet Phenomena Report」の解説が行われました。このレポートは以下からどなたでもダウンロード頂けます。
https://www.applogicnetworks.com/phenomena
この1年のインターネットトラフィックについて、どのようなカテゴリ、コンテンツの通信が多かったのか、そこにはどのようなゲームチェンジの可能性が潜んでいるのか、運用者はどのようなことに注意すべきなのか、当日の発表内容を少しだけご紹介します。

AppLogic Networks社が開発したAppLogic機能(AI/ML技術を活用したトラフィック分析機能)により、アプリケーション・コンテンツの識別や体感品質の数値化が可能です。今回のレポートもこの機能を用いて作成しているようです。

モバイルは固定ブロードバンドと比べてトラフィックの傾向が大きく偏っていることがわかります。

これは1日のアクティブユーザ率(1日1度はアクセスするユーザの割合)を表しているのですが、動画・SNSよりも広告系が上位に入ってくるのは意外でした。

また、最近多くの方を悩ませているスポーツ等のライブ中継によるスパイクトラフィックについても言及しています。今後益々、体感品質の管理が重要になり、投資計画は難しくなりそうです。(お悩みの方は弊社までご相談ください)

体感品質の低下にユーザは敏感に反応するようです。レピュテーションやコールセンターの負荷等も考えなければならないのは頭が痛いですね。

話題の生成AIについても大きくトラフィックが伸びているようです。固定ブロードバンド、モバイル双方でChatGPTの通信量がずば抜けていますね。AI関連通信の品質管理も忘れてはいけません。

TLS1.3を始め、殆どの通信が暗号化されるようになりました。秘匿性は確保しつつ品質の可視化、最適化を図れるのがAppLogic Networks社の最大の強みであり、当社が推している理由でもあります。
上記は当日発表された内容の一部です。xFlowやDNSなど、インターネットトラフィックの傾向分析には様々な手法がありますが、AppLogic Networks社は秘匿性を確保したまま、データプレーンパケットを直接分析し、品質を可視化することが可能です。当社でも引き続き、様々な活用法を編み出していきたいと改めて思いました。
午後の部(Telco)より 「AppLogic and App QoE ~The Evolution for Today’s Internet~」
昨今のインターネットトラフィックはどのように変化しているのか、そして我々はどのように分析すれば良いのか、より深くAppLogic Networks社の取り組みについて説明がありました。

午前の部で触れたような生成AIやライブ中継といったトラフィックの増加だけでなく、ロボット、AR/VR、ドローン等の通信が増加することを予測しています。どれも品質の確保が大変そうですね。

暗号化された通信であっても、高い精度でアプリケーション識別が可能です。VPNを通していても識別できるそうです。(解読するわけではありません)

AppLogic Networks社が持つ膨大な情報に基づいたデータベース、ディープラーニング等を駆使して識別精度を高めているとのこと。これは誰も真似できませんね。

また、トランスポート層の主流がTCPではなくUDPに変わりつつあることにも言及しています。これもまた品質管理が大変そうです。

どのようにしてUDPや暗号化された通信の品質を管理するのか。AppLogic Networks社のラボで、なんと手作業によるデータ収集から始まるそうです。そこからモデル化を進めるようですが、1つ1つ手を抜かず、こういった泥臭いところから仕上げていく姿勢には感服です。
上記は発表された内容のごく一部であり、それぞれ更に深堀した詳細な説明がありました。ここでは伝えきれないため割愛しましたが、もし興味がありましたら当社までお問合せください。
午後の部(Enterprise)より 「Enterprise Portfolio Update」

インターネットトラフィックの分析、品質の可視化、制御と言うとインターネットプロバイダーやコンテンツプロバイダーでの活用にばかり目が行ってしまいますが、実は企業や大学等のネットワーク運用での活用も進んでいます。通信事業者向けだけではない、エンタープライズ領域でのAppLogic Networks社の取り組みについて発表がありましたので紹介します。

エンタープライズ領域において、通信品質は生産性に大きく影響します。とはいえ帯域は有限ですので、如何にコストを抑えて通信品質を維持するのかが重要です。これは通信事業者と同様の課題であり、つまりAppLogic Networks社の技術を用いることで解決が可能です。

AppLogic Networks社は完成されたダッシュボード画面を提供しており、直感的かつ詳細に様々な視点でネットワークの品質を確認することができます。

業務利用しているクラウドサービスの通信品質を確認したり、拠点や部門毎の帯域分配、優先制御等の実装をきめ細かく行うことが可能です。

AppLogic Networks社の特長である、高いアプリケーション識別精度を活かしたセキュリティ対策も興味深いです。サードパーティーのデータベースとも連携でき、一般的なファイアウォールよりも簡単かつ確実な運用を実現できます。

生成AIのエージェントを搭載しており、可視化したい情報をプロンプト入力するだけで情報を収集し、グラフの描画やSQLの実行結果を返してくれます。
例えば、「〇〇部の××さんから最近クラウドへのアクセスが遅い」という問い合わせがあった場合、申告のあったユーザのアクセス先や品質のスコアを瞬時に出してくれます。これはすごく便利。
地域のISPやCATVといった通信事業者が企業や大学に対してネットワーク構築や運用を引き受けているケースもあるかと思います。そういった法人向けサービス拡充の一環としてAppLogic Networks社を活用することも今後推進していきます。
イベント全体を通して
昨今、スポーツのライブ配信やAI等、インターネットトラフィックのトレンドが徐々に変化していることは肌で感じていましたが、膨大なデータを持つAppLogic Networks社のレポートや説明を受けて改めて確信しました。これからは単純なトラフィック増への対策だけでなく、ライブ配信等による突発的なトラフィック増加に対する対策の重要性も増してくると考えます。
また、通信事業者だけでなく企業・大学等のネットワーク運用においても同社の技術が有用であることが今回のイベントで示されました。
今後のユースケース拡大、更なる技術の進化を大いに期待できる内容であり、同社の今後の取り組みに注目です。
さいごに
当社は2014年からAppLogic Networks社の販売代理店を務めており、これまで多くの通信事業者で導入を支援してまいりました。
通信品質の可視化、制御は導入してから運用を回すことが重要です。当社は販売・構築して終わりではなく、運用まで伴走するNIerとして、引き続き皆様を支援して参ります。