はじめに
ごみ箱の残量検知をしたいというご要望が多い中、透明ペットボトルのゴミは問題なく測定できるのか?というお問い合わせがありました。
今までそのような検証をしたことがなかったため、IoT技術チームで、透明ペットボトルのゴミ箱残量測定は可能なのか?という検証を行うこととしました。
検証環境について
以下のものを利用し、複数パターンで実際の距離とToFセンサーで計測した距離の誤差を取得しました。
- ペットボトル 綾鷹 525ml(ラベル有のもとのラベル無のものを用意)
- 黒い背景と白い背景
- 社内のごみ箱 樹脂45リットル/高さ57.5cm
【検証①平面での検証】背景(白/黒)×透明ペットボトル(ラベル有/ラベル無)での比較
透明ペットボトル(ラベル有)と(ラベル無)の2種類で、どこまで誤差なく距離が測れるのか。ペットポトルを一列に並べて検証を行いました。
また、特に黒色は赤外線を吸収してしまうため、背面白と黒の2パターンで検証を実施しました。
実際の物理距離/mm | ToF距離/mm | 誤差/mm |
---|---|---|
205 | 206 | +1 |
実際の物理距離/mm | ToF距離/mm | 誤差/mm |
---|---|---|
205 | 244 | +39 |
実際の物理距離/mm | ToF距離/mm | 誤差/mm |
---|---|---|
205 | 207 | +2 |
実際の物理距離/mm | ToF距離/mm | 誤差/mm |
---|---|---|
205 | 214 | +9 |
ラベル有では誤差が±5mm以下と比較的誤差はありませんでしたが、ラベル無になると最大で+40mm弱の誤差が生じました。
背景白+ラベル有の場合は、ペットボトルの数が増えるほど、誤差が少なくなり、ラベル無の場合は、ペットボトルの数が増えるほど、誤差が大きくなっていく傾向にあります。
以下、全検証結果のデータとなります。
【検証②ごみ箱の蓋の裏にToFセンサーをつけて検証】ごみ箱の底(白/黒)×透明ペットボトル(ラベル有/ラベル無)での比較
次に、光の届かない密閉されたゴミ箱の上蓋裏のセンサーを取り付け、透明ペットボトルのラベル有とラベル無まで、どこまで誤差なく距離が測れるのか検証を行いました。
また、検証①と同様に、特に黒色は赤外線を吸収してしまうため、底面白と黒の2パターンで検証を実施しました。
実際の物質距離/mm | ToF距離/mm | 誤差/mm |
---|---|---|
480 | 525 | 45 |
実際の物質距離/mm | ToF距離/mm | 誤差/mm |
---|---|---|
480 | 556 | +86 |
実際の物質距離/mm | ToF距離/mm | 誤差/mm |
---|---|---|
480 | 500 | +20 |
実際の物質距離/mm | ToF距離/mm | 誤差/mm |
---|---|---|
480 | 522 | +42 |
以下、全検証結果のデータとなります。
底が白+ラベル有だと誤差が小さくなっていく傾向にあることがわかりましたが、底が黒+ラベル有だと1段と3段を比べても、20mm強と誤差が変わらないことがわかりました。 また、底が黒でも白でも、ラベル無だと段が増えるほど誤差が大きくなっていく傾向にあることもわかりました。
【検証③社内のペットボトル用のゴミ箱で検証】
最後に、社内に設置してあるペットボトル用のゴミ箱で、ランダムに溜まっているペットボトルまでの距離を測定してみました。 結果として検証②の表にあります、ラベル無の値に近く、ゴミ箱のペットボトルにはラベルが付いているものも含まれているため、ラベル無の値よりも、93.5mmとやや誤差が少なくなっているように推測されます。
実際の物質距離/mm | ToF距離/mm | 誤差/mm |
---|---|---|
365 | 459 | +94 |
結論 ToF距離センサーによる透明ペットボトルの入ったゴミ箱残量測定は可能か?
ゴミ箱に入ったペットボトルには、透明な部分とラベル部分が混在しており、ToF距離センサーでどの部分を測定したかにより、それぞれ数値が異なってきます。
仮に一般的なゴミ箱サイズ(樹脂45リットル/高さ57.5cm)であれば、本来測定したい距離より、100~150mm程度の誤差は生じる可能性があると推測されます。 結論として、上記のような誤差が許容範囲であれば、透明ペットボトルの入ったゴミ箱の残量検知にも利用可能です。